グレードと決断

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自分のコレクションがある程度まで出来上がると、欠けている部分が気になってくる。あと2点か3店で完全に集まるとなれば、多少無理してもと考えるからだ。

こうした場合、やはり問題なのがグレードだと言える。自分でボーダーラインと決めているレヴェルとギリギリだったら、ピックアップするか否かの決断が迫られる。

価格とグレードを睨み合わせながら、いろいろと悩むに違いない。

私はこんなときFINE――普通品が境界と考え、特別に高価でない限りは、とりあえず入手してしまうこ

とにしている。そうしておいてより以上のグレードのものが出たら、買い換えをしてゆく。もしその国のコイン全体が値上がりしたら、格下のグレードであろうが一定の値段で売れる。それによってある程度、埋め合わせをするという考え方になる。  ディーラーに引取りを持ちかけてもよいし、自分の希望と隔たりが大きければ、オークションに出品してもよい。ただし魅力あるコインでなければ、期待だけの値が付くことはない。  逆にグレードが抜群に良好すぎると、今度は価格――予算超過という問題が生じてしまう。極美品EXTRAFINEでよかったのに、未使用品UNCが目の前に出てきた、というケースである。  この例は結構多い。だが直面したコレクターはたまらない。20万円の予算で考えていたら、ハイグレードなので40万円ときたら、誰しも考え込んでしまうだろう。  そうしたケースの場合には、何とか無理しても入手しておきたい。将来のことを考えると、やはり価値の上昇という見地から、よりハイグレードのものを押さえておくべき、と助言するのが常だ。

私の知人の失敗談をしよう。コモロ諸島の1890年に発行された5フラン銀貨――そのトーンが適度にかかった素晴らしい未使用品だった。ところが売れないだろうと考え、その場でピックアップしなかった。けれど銀行へ足を運ぶ手間を省いたことにより、誰かが先に買ってしまったのであった。  つまり私の友人は何点か纏めて、その合計額を引き出せば一度の手間で済む、と考えたところが敗因だった。  本当に素晴らしいと思ったら、コインショーの最初の一店目でも、キープを申し出ていったん銀行へ走るべきである。ある程度の経験を積んでくると、状況を甘く見るとこの失敗を犯す。  これは戦いの場も全く同じである。やられるのは新兵と慣れが生じた準古参兵、というパターンだからだ。古参兵――下士官たちの戦死率は極めて低い。私の友人のケースは、適度の慣れによる油断と考えたら、コインの入手もまた戦いであるのがよく理解できる。  グレードに関しては、自分のコレクションしている範囲について、それなりの基準を定めておくのが望ましい。マーケットにあるのが殆ど美品VERY FINE以下なのに、極美品を追いかけていても入手は難しい。

打者が自分のストライク・ゾーンを設定するのと同じように、探しているコインのストライク・ゾーン――すなわち手を出すグレードと価格の範囲を、はっきりと決めてかかるべきだろう。

 

 

シチリア島シラクサのコレクションの一部。グレードの高さが目立つ。

 

シチリア島シラクサのコレクションの一部。グレードの高さが目立つ。

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