「古代の芸術品――ギリシア・コイン」

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古代のコインはその殆どが、まだ温かく柔らかい金属の塊をハンマーで打刻する、という方法で製造された。このため一つひとつが微妙な違いを有しており、味のある出来栄えを示すのである。
ギリシア期のコインで素晴らしいものが見いだせる都市国家は、経済的な先進国だと考えてよい。その証拠に、軍事国家のスパルタは、全く貨幣経済が存在していなかった。
経済の発展していたアッティカ(アテナイ)をはじめ、シラクサ、カルタゴ、マケドニアなどが、競って素晴らしい貴金属コインを流通させたのだ。けれど立派な金貨や銀貨については、都市国家内の大口取引などはわずかであり、その多くは国外との交易決済に用いられたのであった。
このためアッティカのアテナとフクロウ、シラクサのアレトゥサとクァドリガ(4頭立2輪戦車)、カルタゴのタニットと馬、マケドニアのヘラクレスとゼウス、といった具合に象徴が多くの場合に描かれた。つまりコインを目にしただけで、何処の都市国家のものか一目瞭然だったのである。
マケドニアがアレクサンドロス3世の早い死により、帝国解体という事態を招くと、その版図はマケドニア本国以外に、シリア、エジプト、バクトリアなどに分かれた。これらは新しい為政者の下で、彼らの肖像を描く、量目が16から17グラムのテトラドラクマ銀貨を流通させた。
こうしたギリシア期のコインは、スターテル金貨、デカ(10)ドラクマやテトラ(4)ドラクマ銀貨などが対象となる。これらは単なる貨幣という経済手段だけでなく、どれも素晴らしい芸術品と言って良い。それを個人の所有として座右におけることは、コインならではの幸運だろう。これは同時に高い資産価値を有しているのを意味する。
(個別のコインについては稿を改めたい)

2013.7.30|ギリシャ/ローマ 時代コレクション

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